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2009.03.16

vol.23 英国風フラワーアレンジメント

「さて、今月のコラムのテーマはどうしよう~???」
とバックナンバーのファイルを見ていましたら、はたと気付いてしまいました。

「お花」のテーマが少ない!(笑)

私が主任講師を務めるHanahiroプリザーブドフラワー・アカデミーのブログでも、
もっぱら「食」専門と言われていますが。

少々反省し、今月は本業の「お花」をテーマに・・・。

生花のレッスンをしているのは、ホテルオークラ東京レディースサークルにて。
このレッスンは、ジェーン・パッカー時代から数えると十数年になります。

フリーランスになった当時のオークラのご担当Kさんが、「三代川先生に付いている生徒さんですから」とおっしゃってくださり、そのまま講座を続けさせていただくことになりました。
隔月だったレッスンも毎月になり現在に至ります。

「英国風」とうたっていますが、実は使うのはフランスで買ってきた資材ばかり。

時々(というより、毎回)生徒さん達から、「フランス風フラワーアレンジメントに変えてはいかがですか?」と言われますが、お教えするアレンジメントの基本は、私が英国で学んだことがベース。

それでは、「フランスで買い付けた資材を使った英国風フラワーアレンジメント」講座、となりますが、これでは長過ぎますでしょ?というわけで「英国風」のまま。

今月はこの1年のオークラでのレッスンのアレンジメントをご覧に入れたいと思います。

まずは、生徒さん達から「2008年のベストアレンジメントです!」というお声が多かったアレンジメントから。もちろん「ピンク」です。(笑)

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この月使用した「フランス」ものの資材は、濃いピンクのフェルトマット

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2008年5月の第13回のコラムでもご紹介しましたが、ランジス市場「Mat-flor」という資材店で買い求めたものです。

大輪のお花を模したマットで、中央のカッティングワークの部分をあまり隠さないように、と考えたのが、足元が狭く高さのある器を使うこと。

イメージにぴったりの白いガラスの花器が見つかり、お花も花びらの先端に白い斑が入ったアジサイフラウトシエ(フラウはドイツ語でマダムという意味)や、白い花びらにピンクの斑のフラウヨシコが手に入り、パープルのライラックも白い縁取り、そして大好きなダリア、最近お気に入りの胡蝶蘭、と思い通りの花合わせが出来ました。

こちらもフェルトのマット。

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でも、フランスものではなくスウェーデンで買った、紛れも無くスウェーデン製です(お花の資材は実は中国製が多いのです)。

昨年の3月にフィギュアスケート世界選手権の観戦で訪れたスウェーデンで見つけました。

数種類のお花がモチーフになったこのマット、お店では何枚かをつなげて壁飾りにしていましたが、かなり厚手で鍋敷きとしても使えそうです。

黒いマットですからお花の色合わせは何でもOKだったのですが、楽しい思い出がたくさんのスウェーデンに敬意を表してスウェーデンの国旗、鮮やかなブルーイエローをテーマカラーにしました。
と言っても、鮮やかなブルーのお花はあまりありませんので、花束のリボンをブルーに。
イエローのお花は種類も多くありますが、中でも大輪のダリアに惹かれメインにしています。

このダリア、「ヴィッキ」という種類なのですが、市場でその名前を見てビックリ!
世界選手権に出場した地元スウェーデンの女子選手がヴィッキという名前で(それはそれは美しい方でした)、彼女がリンクに登場すると「ヴィッキ、チャチャチャ、ヴィッキ、チャチャチャ!」(「ニッポン、チャチャチャ!」と同じ掛け声で)と大盛り上がりだったのです。
こんな偶然があるのですね。

器はやはりスウェーデンつながりで、「イケア」で探しました。
2008年6月のレッスンです。

フェルトつながりでもう一つ。

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9月にパリに行った時に「Mat-flor」で見つけた松かさかえでの葉、そして実ものの形をしたフェルト製のオーナメント。
茶色の組み合わせが斬新です。

秋のイメージですと、茶色にワインや深い赤、オレンジ、と考えてしまうところに「白」
このような色合わせがフランスならではといつも感心します。

秋から冬にかけてのフランスの風物詩、焼き栗の屋台をイメージし、マロン(栗)、ショコラ(チョコレート)をテーマカラーにしたところ、イメージ通りの光沢のあるマロン色の花器が見つかりました。

そしてお花は、ニュアンスのあるバラ6種をチョイス、茶色がかったレースフラワーと葉を合わせています。
自宅用に買い求めたマットガーランド(花綱)とでディスプレイしました。

このレッスンのテーマは「アラベスク(アラビア風の、唐草模様の、という意)」

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同じく「Mat-flor」で見つけた木製の台座を使っています。

これは2枚のを組み合わせたもので、上に丸い平らな部分があり、どうやらここにキャンドルを載せるスタンドのようです。

商品名は、「Chandelier Bois(木のシャンデリア)」

昨年辺りから流行し、ブティックなどでよく見られるアラベスク風のシャンデリアやシャンデリアの形のステッカーなど、それがすぐさまフラワーデザインの資材となるのはさすがですね。

レッスンでは、台座の部分に器を固定し、カットワークに合わせてお花の形に特徴のある小花、エピデンドラムオンシジウムなどをチョイスしました。

一時は「キャンドル屋さんが出来そう~!」と生徒さんに言われるくらいキャンドルを使うレッスンが多かったのですが、昨年は1回だけ。

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フランスで買い求めた「鳥」の形をしたキャンドルです。

1月のレッスンだったのですが、一足早く春を先取りして、花が咲き乱れるお庭に鳥が舞い降りたイメージにしました。
ここにもダリアが登場していますね。

そして、フランスで買った布を使ったレッスンも年に数回、このコラムを始めたばかりの2007年6月、第2回のコラムでも2点ほどご紹介しています。

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この布は麻布に枝や葉の部分はグリーンでプリント、茶色のお花はフェルト素材がプレスされていて、オリエンタル調。

パリでこの布を見つけ買い求めたのですが、その数ヶ月後にこの布で出来たクッションを伊勢丹で見つけた時は驚きました。
恐るべし伊勢丹!!愛してます。(笑)

レッスンでは、布の周りに両面テープを使ってワイヤーを付け、ワイヤーリボンのようにギャザーを寄せてアレンジしました。

シャムロックというキクとビバーナムのグリーンと、ヒエスモークツリーの茶、そしてアクセントにミニ胡蝶蘭ミナズキシンフォリカルポスの白を加えています。
テーブルの中央に飾るテーブルガーランド(花綱)です。

毎年7月のレッスンは、時期的にお花の持ちも心配ということで、アーティフィシャルフラワーを使っています。

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実は、アートフラワー(イギリスではシルクフラワーと呼ばれていました)にはあまり興味が湧かず、従ってレッスンに使うことなど考えもしなかったのですが、目覚めたのは2003年にアメリカに行った時のこと。

アメリカ本土初上陸のこの時、買い付けのお手伝いに行かせていただき、アメリカのアーティフィシャルフラワーのマーケットに驚きました。
種類も色合いも日本とは比べ物にならないほど。
そして、細かい部分まで模倣されたその精巧さに圧倒されました。

以来、見る目が変わってきたように思います。

ピンからキリまでありますが、レッスンにはクオリティの高いものを使う、というのが私のこだわり。
この月はリースにしましたが、日本にはない色があるフランスで買ったアートフラワーも使用しています。

ダリア柄の布(「パリ一週間 花と雑貨を探す旅プラン」の 84pでも紹介しています)を下に敷いて、アーティフィシャルフラワーのダリアが、布の茎につながるようにしてみました。お写真で判りますか?

クリスマスは毎年、心躍る季節。
11月のリースもクラスを増やしてレッスンを行っています。

レッスンは、フランスの見本市で買い求めたガラス製のオーナメントリボンを自由にチョイスしていただくスタイル。
この月だけは、一切遅刻される方がいらっしゃらないのが笑えます。
毎回、資材をチョイスするレッスンにすれば良いのかしら~?(笑)

オーナメントのチョイスにも個性が表れますが、選んで頂くようになって6年、そのリースのオーナメントを毎年ツリーに加えて行くとおっしゃる生徒さんがいらして、今年は何色のオーナメントを増やそうかとプランニングなさっているとか。

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写真は、ビビッドなピンクパープルの組み合わせと、グリーンのクールなイメージのリースです。

最後に12月のクリスマスのアレンジメントを2点ほど。

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2007年は「赤」をテーマに、2008年は「白」黄色(金色)をメインにしました。

クリスマスカラーには、「赤」「緑」「白」「金」「銀」「紫」の6色あると言われていますが、「愛」を表す「赤」のアレンジメントには、赤いオーナメントがいくつかつながったガーランド状のものを、「純潔」を意味する「白」のアレンジメントには、白い小花の飾りが付いたドロップ状のクリスタルのオーナメントを入れています。いずれもフランスで見つけたものです。
両者に共通してポインセチアを使っているほか、赤いサンゴミズキと銀色の銀柳で、アレンジメントに軽やかさを加えているのが特徴です。

今月は22日からパリへ行って来ます。目的はもちろんレッスン用の資材の買い付け。
素敵なものがたくさん見つかるといいな~。


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英国スタイルのフラワーアレンジメント

プロフィール

三代川純子

フラワーデザイナー

三代川純子

三井物産株式会社人事部勤務中に恵泉フラワースクールで学び、退職後、フラワーデザインを学ぶため渡英。

「コンスタンス・スプライ」「ジェーン・パッカー」などにてディプロマ(卒業証書)を取得した後、英国王室御用達フローリスト「エドワード・グッドイヤー」にて修業。
また、パリのフルリスト「パトリック・ディヴェール」「リリアンヌ・フランソワ」にても研修を行う。

フラワーデザイナーとして、雑誌「花時間」などで多くの作品を発表するかたわら、ホテルオークラ レディースサークル(現在、ホテルオークラ本館建て替えのため休会中)では、ヨーロッパで自ら買い付けて来た資材を使いレッスンを行っている。

また、「Hanahiroプリザーブドフラワー・アカデミー」の主任講師も務める。