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2014.10.19

vol.50 我が家の「緑の薬箱」

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こちらのコラムでは、
家庭で手軽に実践できる自然の手当てや、
主に植物を主原料にした「緑のお薬」の作り方、
使い方などを色々ご紹介してきました。

元々私は「おばあちゃんの知恵」に大変興味があり、
結婚後色々試しているうちに、
ライフワークである植物の力を利用できる「自然療法」が
とても楽しく心地良く感じられるようになっていきました。
さまざまな症状が出る度に実践し、
その効果を実感し、気がつけば、
今ではすっかり自分の生活になくてはならない
必要不可欠なものとなっています。


この家庭の緑の常備薬の御陰で、
慣れない育児の最中でも、
自分や家族の不調がどんなに助けられたことでしょう。

言葉が不自由な外国暮らしで初めての育児をしている間には、
心細く不安で一杯なことが度々ありました。
そんな中、お医者様に出かける前に、
こういった「緑のお薬」の力を借りて、
症状が良くなった体験を重ね、
その度に植物の持つ力に感動したり感謝したりの連続でした。
そしてそれがいつの間にか、
植物に対する信頼感が深まることに繋がりました。
また私たち人間の持っている自己回復力という
潜在的な力を確認する機会をもらった気がします。


身近な自然のもの(植物など)で、
私たちの思っている以上に、
私たちの健康は大概良くなるようにできているということを、
私は体験しながら理解しました。
地球上の生き物や自然物たちは、
元々、そのように互いに寄り添い、関係し合い、
うまく調和していくようにできているのかもしれません。

また、自然のもので治癒されている間には、
ゆっくり休むことの大切さや、
心の問題が症状に関係していることに気付いたりもします。
また、当たり前のことに感謝が足りなくなっている
日々を送っていたことに気付いたり。

自分や家族をとりまく人々や植物などへの愛を感じるのも、
そんな時です。
私たちは、普段は生きていることが当たり前と思っていますが、
実は「生かされて」いるという恩寵の中に包まれています。

ただ、病気そのものだけを治したり早く回復したりすることが、
大事なことではないのですね。
体調を崩す原因ーーーそれは、自然のものと寄り添うことで、
初めて自分自身で気付くことができるのではないかと思います。


便利な市販品を使うのもいいのですが、
自然のものを使う知恵を持っていることは何よりも素敵なことだと思っていますし、
何かあった時に一番頼りになる、
たくましい「人間力」に繋がっていくのだと思っています。

我が家のキャビネットには、たくさんのティンクチャーやらレメディー、
ハーブティーがたくさんあり、まるで「実験室」のようです。
今回は総まとめとして、
とりあえずこれさえあれば急場はしのげる!というものを厳選した、
我が家の究極「緑の薬箱」をご紹介したいと思います。

皆さんも各家庭で必要なもの、
使用頻度の高いものなどを厳選し、
愛をいっぱいに込めたオリジナルの「緑の薬箱」を、
是非ご用意してみて下さいね。

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►薬箱見開き右/上段左から

びわの葉エキス
  傷、火傷、腰痛、肩こり、捻挫、打撲、喉の痛み、歯痛、
  口内炎、アトピー、虫さされ、水虫
  などに。
  原液塗布の他、お湯に混ぜて湿布、足湯や手浴。
  クリームや植物オイルに混ぜて患部に塗布。
                          
カレンデュラオイル
  アトピー、切り傷、さし傷、粘膜修復、痔、しもやけ、
  あかぎれ、ひびなどに。
  そのまま塗布したり、軽めのすべりの良い植物オイルと
  混ぜてマッサージすることも可能。 
  また、下記のセントジョンズワートオイルと混ぜたり、
  上記のびわの葉エキスを垂らしたり、
  精油と混ぜて塗布、マッサージすることもできる。

セントジョンズワートオイル
  裂傷、火傷、神経痛、関節炎、帯状疱疹などに。
  そのまま塗布。軽めのすべりの良い植物オイルと混ぜて
  マッサージすることも可能。
  また、上記のカレンデュラオイルと混ぜたり、上記の
  びわの葉エキスを垂らしたり、精油と混ぜて塗布、
  マッサージすることもできる。


Bach博士のレスキューレメディー(購入品)
  主に野生の植物の持つエネルギーで人間の心のダメージを回復させ、
  身体のトラブル軽減にも繋げるという、
  英国人エドワード・バッチ博士の考案した
  フラワーエッセンスという療法。

  数種の植物から作られたフラワーエッセンスを、
  心の状態によって選び、舌下に垂らしたり
  (1回につき1滴。症状にもよるが一日6回まで)、
  水で薄めたりして(コップ半分の水に6滴。症状にもよるが一日2回まで)
  摂取する。

  こちらのレスキューレメディーは、強いストレスやショック、
  緊張を感じるときに役立つ緊急用バッチフラワーで、
  厳選された5種の植物がブレンドされている。

ホメオパシーレメディー(薄いブルーの瓶)(購入品)
  ドイツ人医師のハーネマンによって確立された療法で、
  「似たものが似たものを癒す」という「類似の法則」に基づいた治療法。
  その働きを簡単に説明すると、「レメディの原料の"情報"を
  生体に与えることにより、自己治癒力が刺激される」ということ。
  つまり、症状と同じ種類の情報(同種の情報)を与える方法
  ということで、同種療法ということになる。
  ホメオパシーは「症状を抑えるものではなく、自己治癒力が働いた
  結果として症状が改善する」方法。

  レメディの原料は植物、鉱物、動物、細菌など自然界の
  すべてのものが対象となっている。
  小さな粒状のホメオパシーレメディーは、
  お砂糖に究極に希釈して固められて
  いるため、小さなキャンディーのような味。
  症状によって合ったものを舌下、口中で
  溶かして摂取する。

  詳しくは、専門書や専門サイトで。


►下段左から

梅肉エキス粒状(手前のジャム瓶):風邪の初期に、おなか不調を感じた時に。
  免疫力アップ、抗アレルギー、疲労回復、二日酔いにも。
  どろりとした液体状のものがあるが、こちらの粒状タイプは、
  より手軽に取り入れられる。

各種ハーブティーバック:風邪の症状にエキナセア、カモミール、ジンジャーなど。
  番茶は上記梅肉エキスの液状タイプのものを溶かして風邪の初期に。
  番茶に天然塩を溶かしてものもらいの際、目に湿布できる。
  カモミールもティーバックを軽く絞って目の炎症や疲れにパック、湿布できる。
  カモミール&ラヴェンダーのブレンドティーバックは、風邪の引き始めや
  就寝前のリラックスに。
  "Throat coat "ティーは、喉の痛みや咳の出始めに重宝。

自分でバルク(ばら売り)のドライハーブを症状によって適当にブレンドすることもあるが、緊急の場合や旅行の際には、このティーバックがとても便利。(下記写真参照)


ティーツリー精油:火傷や傷、虫さされに原液塗布できる。殺菌にも。

ラヴェンダー精油:火傷や傷、虫さされに原液塗布できる。

ユーカリ精油:咳や風邪の際にアロマポットで炊いたり、オイルに混ぜて喉や胸元にすりこむ。
        ハエ、ダニ、ノミの駆虫にも。

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各種ハーブティーバック。緊急時、携帯用に便利。

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その他、今回の薬箱にはご紹介していませんが、
用途に応じた軟膏(バーム)やクリーム、
不眠用に神経を落ち着かせるヴァレリアン(Valerian)、
スカルキャップ(Skullcap)のティンクチャーもお勧めです。

ティンクチャーやびわの葉エキスを飲む場合は、
コップ半分〜1杯の水に10滴ほど垂らして摂取します。(一日3回以内が適当)


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ティンクチャー、インフューズドオイル、バーム、クリームの作り方は下記の「関連記事」参照。

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【 関連記事 】

☞ Vol.11「Herb Tinctures & Infused oil」(さまざまなハーブのティンクチャーの作り方、使い方)

☞ Vol.22「びわの葉を活用する」(びわの葉とエキスの作り方や使い方)

☞ Vol.34「自然の手当/湿布

☞ Vol.36「ハンガリアン・ウォーターとクリーム

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。