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2012.10.22

vol.34 自然の手当て/湿布

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キッチンにある素材で、自然の手当てができる方法を
皆様ご存知でしょうか。

風邪かな?と思ったら、
こんにゃくをゆでて腰回りの腎臓のある付近に湿布したり、

目が疲れたり、ものもらいが出来た時には
番茶を煎じて目に湿布したり。

打撲や炎症があった時には、
小麦粉にすりおろした里芋を混ぜた、芋パスターを貼って解消させます。


娘が子供の頃、
発熱した際には
キャベツの葉を頭にのせて解熱させていました。

知人には、氷枕でいいんじゃないの?と
ご意見を頂くこともありましたが、(笑)
私はやはり、大好きな植物で治癒してもらうことが心地良かったのです。

そして、本当に効果があって治ってしまった時には、
まるで実験が成功したような嬉しさがありました。


とても穏やかな作用でありながら、

着実に、私たち人間を回復させてくれる
植物の強さ、優しさを感じると、

植物に対する信頼感、愛情が
さらに深まっていくのを感じると共に、

とても深い安堵と満足感が得られるのでした。


             * * *


病気や不調の際に、このような自然療法の手当てを試して
今日まで来ましたが、

効果を感じられることが非常に多いのを実感しています。


病院に行くほどではないけれど、という時、
この自然の手当てを知っていると、とても心強いもの。


便利な現代においては、
ほんの少しだけ手間暇がかかるかもしれませんが、

キッチンにある野菜や素材で
いざという時に体のケアができることを知るのは、

これからの時代、
人間力を養うためにも必要なことかもしれません。



先日、娘が目の奥が痛い、と不調を訴えました。

原因が分かりませんでしたが、
とりあえず芋パスターを作り、びわの葉エキスもちょっぴり垂らして練り、
患部に当ててケアしたところ、
翌日にはすっかり良くなっていました。

こんなに手軽で安全な手当てを、
皆さんにご紹介しない手はありません。

今回は、「湿布」に特定して、
自宅でできる自然の手当をご紹介したいと思います。


皆様も、まずはご自分に、
そしてご家族にも是非、お試しになってみて下さい。


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こんにゃく湿布

  【材料】 こんにゃく  水  タオル

  【作り方】こんにゃく(あれば2丁)を10〜15分ほど煮て、タオルに包み、
       患部に当てる。
  
       基本の手当は、おなかと右わき腹(肝臓)約30分(子供、病人は15分)、
       その後腰のやや上部の腎臓に置いて同じ時間、湿布する。
       熱すぎる場合は、タオルを重ねて調整する。

       布団ににおいが移るのを避けたい場合は、バスタオルを湿布した身体の
       上にかけてから、布団をかぶる。

       湿布した後は、冷たいタオルで拭く。


  【効能】風邪、熱、胃痛、疲労など。
      体内の毒素を排出(デトックス)し、新陳代謝を助ける。

 *こんにゃくの下にびわの葉を敷いて(つるつるした表面を肌に)湿布することも
  できる。

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里芋パスター

  【材料】 里芋(なければじゃが芋) 小麦粉(里芋と同量位)
       しょうが(芋の1%)    天然塩
       ガーゼやハンカチなどの布(黒く変色しても良いもの)

  【作り方】里芋の皮を厚くむき、すりおろして里芋と同量ほどの小麦粉、
       1%のおろししょうがを加え、耳たぶほどの柔らかさになるまで
       混ぜて練る。
       これをガーゼやハンカチ、布に厚さ1cmほどにのばして包み、
       患部に貼る。

      
  【効能】 腫れ物、炎症、捻挫、神経痛、痔、やけど、喉の痛みに。


 *里芋にかぶれる人は、あらかじめ患部にごま油を塗っておくか、
  効果は少し低いが、じゃが芋で代用できる。この場合、小麦粉量を多めに調整する。

  日本では自然食品店などで、里芋粉という水を加えて練るだけの手軽な商品もある。

  しばらく湿布しておきたい場合は、包帯状になる布(手拭いなど)や包帯で
  固定しておく。


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番茶湿布
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  【材料】 番茶の煎じ液  
       自然塩(番茶の1%) 
       ガーゼかハンカチ
       (茶色に変色しても
        よいもの)

  【作り方】ボウルに煎じた番茶を入れ、
       自然塩をひとつまみ(1%)
       加える。
       そこにガーゼかハンカチを
       浸して軽く絞り、
       目にのせて湿布する。

       冷めたらまた番茶に浸してを
       繰り返し、
       15分ほど続ける。

  【効能】 疲れ目、ものもらい、結膜炎、
       目の不調に。

  *動物食や砂糖の過食、食べ物をよく噛まないことなど、
   腸が弱ると目の不調を招くので、併せて注意する。


アロマの湿布

  ハーブの効用を生かし、ドライハーブを煎じたもの、もしくはお湯に浸したもので
  湿布することができますが、
  今回はもっと手軽な、精油を使った湿布法を紹介します。

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 ☞ 温湿布慢性の症状、炎症、血液循環を高めたい場合

 ☞ 冷湿布急性の症状、炎症、発熱、止血時

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 【材料】 精油  水  ガーゼなど  


 【作り方】洗面器にはったお湯に精油を1〜3滴ほど垂らし、
      ガーゼなどに浸して軽く絞り、患部に湿布する。

      クレイパウダーを水で適当な柔らかさに練って、そこに精油を垂らし
      塗布することもできる。


  ○ 頭痛:ラヴェンダー、ユーカリ、ペパミーント、ティートリーなど

  ○ 気管支炎:ユーカリ、フランキンセンス、ティートリー、ローズマリーなど

  ○ 筋肉痛(肩こり、腰痛含む)
       :ジュニパー、ユーカリ、ローズマリー、クラリセージ、マジョラム、
        ペパーミント、レモングラス、ラヴェンダー、ブラックペッパーなど

  ○ 打撲:ラヴェンダー、ユーカリなど

  ○ 皮膚の炎症:カモミール・ローマン、ティートリー、ラヴェンダー、
         パルマローザなど

  ○ 日焼け:カモミール・ローマン、ラヴェンダー、ティートリー、メリッサなど

  ○ 目の疲れ:カモミール・ローマン、ラヴェンダーなど


  *目の湿布をする際には、刺激を軽減するために、精油の滴数を少なくするか、
   カモミールやラヴェンダーのフローラル・ウォーターで代用することもできる。


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<参考文献>家庭でできる自然療法/東城百合子著
 

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。