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2013.01.31

vol.36 (1)ハンガリアン・ウォーターとクリーム

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先日、
リウマチを患っている友人に手渡したいからと、
私の手作りしてあったハンガリアン・ウォーターを
友人が引き取りに来てくれました。

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ハンガリアン・ウォーターとは、
ローズマリーやペパーミント、ローズ、レモンやオレンジピールなどを
アルコール(ウォッカや無水エタノール)に浸け込んで作られた
チンキ剤ですが、

その昔、
リウマチに悩む72歳のハンガリー王妃エリザベートに献上され、
持病のリウマチが治っただけでなく、
隣国のポーランド国王からプロポーズされるに至ったという逸話故に、
「若返りの水」とも呼ばれる、
伝説の水なのです。


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冬の間は、
リウマチや関節炎の悪化する季節ーーー。


友人の症状が軽くなることに思いを馳せながら、
日本に住む我が父のリウマチのことも気になり、

このハンガリアン・ウォーターで、
簡単なクリームを作ってみようと思い立ちました。


基本の手作りクリームに、
ハンガリアン・ウォーターと、リウマチに効果があると言われる
精油をアレンジし、

少しでも楽になることを願って。


このハンガリアン・ウォーターの中には
庭から採れたハーブ、
デザートに頂いたオレンジの皮から作ったオレンジ・ピールなど、
材料も身近にあったものを使うことで、

クリームを作る時に、
ますます愛着が湧きます。


効くかどうかは分かりませんが、
私の思いがこのクリームに込められ、
それを日本の父に届けられれば、

それだけで満足で、しあわせだと感じます。


市販のお薬にはない、
「愛」を込めて作れるのが、

家庭の「緑の薬箱」の醍醐味なのかもしれません。


芳香自体も、なんとも言えないかぐわしい香りの
ハンガリアン・ウォーター。

手元にあるだけで、
幸福感を呼ぶ香りです。


美肌効果を期待して、精製水で薄めた化粧水として
使用することもできるのですが、

今回は、まずはその作り方をご紹介致します。


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● ハンガリアン・ウォーターの作り方

 【 材料 】

  ・ドライローズ :10g
  (メディカルハーブでは、Rosa damascena、Rosa centifolia、「アポテカリーロズ/薬屋のバラ」と
  呼ばれるRosa gallica 種などを使用する。)
  ・ドライローズマリー:10g
  ・ドライペパーミント:10g
  ・ドライオレンジかレモンピール:5g

  ・ウォッカ:100ml
  ・精製水:200~220ml(ハーブが浸るくらい)

  ・蓋がしっかり閉まるガラス容器(450~500ml容器)

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左から、ペパーミント、ローズ、ローズマリー、オレンジピール

 【 作り方 】

  1)煮沸消毒したガラス容器に、ドライハーブ(レモンかオレンジピール含む)を入れ、
    分量のウォッカ、精製水を静かに注いでいく。

  2)ドライハーブと液体分をよく混ぜ、ハーブより水位が低い場合は、
    精製水を少しずつ足していく。
    (ハーブが空気に触れるとカビの原因になることがある為)

  3)ガラス容器の蓋をしっかり締め、
    1か月以上、冷暗所に瓶を保管する。
    時々ハーブと水分がよく混ざるように、軽くゆする。

  4)その後、ハーブを清潔な布などで漉し、消毒した遮光瓶に入れ替えて
    保管する。1〜2年ほど、冷暗所にて保存できる。


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【 使用法 】

  出来上がった原液を、精製水で5 〜 10 倍に薄め、(敏感肌の方ほど
  多く薄めて下さい)
  ハンガリアン・ウォーター化粧水として使用します。
  水で薄めたものは傷みやすいので、なるべく早めに使い切るようにします。

  (敏感肌の方は、耳の下あたりでパッチテストを行ってからご使用下さい。
   又、植物性グリセリンを全体の1割程度混ぜると、保湿効果のある化粧水に
   なります。)
  

  筋肉痛や傷み、疲れた部位には、原液を2倍に薄めてすりこんでも。

  原液(数倍に薄めたものも)をそのまま肌に塗布した場合は、
  すぐに直射日光を浴びないよう、気をつけて下さい。
  (レモンやオレンジの成分が、肌にシミを作る可能性がなきにしも
   あらずの為)


  又、原液をお手持ちの化粧水やクリーム、パックなどに少量混ぜて
  美容効果を期待して使うこともできます。


  チンキ剤は、各々のハーブの効能を取り入れる方法として、
  1カップの水、もしくはお湯に10滴ほど垂らし、飲むこともできます。
  但し、肝臓障害、妊婦、お子さんは摂取を避けるようにして下さい。


  作成に使用したハーブの出がらしは、
  コットン布やガーゼに包んでお風呂に入れると、
  素敵な芳香入浴剤になります。


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関連過去記事:Herb Tincture

 
次回は、
このハンガリアン・ウォーターを取り入れた
クリームの作り方をご紹介致します。

  

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。